[文件]BioHazard6 FILE:エイダ篇
File 1-1 : エイダ・ウォン
年齢不詳。所属組織不明。世界を股に掛ける女スパイ。その素性、目的は一切不明で、
エイダ・ウォンという名前すら本名ではない。
どんなに困難な依頼でも、冴えわたる頭脳とズバ抜けた身体能力で難なくこなす。
また、屈強な精神も備えており、厳しい局面に対しても常に余裕を持って対処する。
しかし、何かエイダ自身の「真の目的」が存在するらしく、その達成のためであれば、
組織や依頼人を裏切ることも厭わない。
1998年、G-ウィルスを奪取するためラクーンシティに潜入した際には、当時、ラクー
ン市警の新米警官だったレオン・S・ケネディと出会う。その後、合衆国エージェント
となったレオンに対して助言を与え、サポートするが、エイダ自身の目的を達成するた
めに彼を巧みに利用しているフシもある。
今回の事件では、ラクーン事件以降連絡を断っていたディレック・C・シモンズに呼び
出され、彼が指定した潜水艦へと潜入した。そこでエイダは、記憶にないオーダーと、
予期せぬ通告を受けることになる。
潜水艦でエイダが見た、彼女の記憶にないオーダーだが、何者かの手によって遂行され
ていた。
「ディレック・C・シモンズへ
ジェイク・ミューラー捕獲、失敗したわ。
一緒にいたシェリー・バーキンと一緒に、現在行方不明。
爆撃に巻き込まれて、二人とも粉々になったのかもね」
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File 1-2 : ジェイク・ミューラーに関する報告書
「ディレック・C・シモンズ殿へ、依頼にあった調査の結果を報告します。
アルバート・ウェスカーの実子ジェイク・ミューラーの極秘調査は問題なく
終了しました。
ジェイク・ミューラー(20)
国籍はイドニア共和国。白人男性、瞳の色ブルー、身長190cm程度。5年前にイドニア
共和国内に存在する傭兵部隊に所属。それ以後、欧州、中東、南米など世界各国の紛争
地へ出征した記録あり。採取した組織片からアルバート・ウェスカーの実子であること
は確定。
解析の結果、アルバート・ウェスカーの特異な体質がジェイク・ミューラーへ高確率で
遺伝していることが発覚しております。この特異性を解明できれば、現行のC-ウィル
ス研究の躍進が期待できます。しかし、入手した組織片は極微量のため、解析の続行が
不可能となっております。さらなる研究のため、ジェイク・ミューラーの体液、血液、
粘膜、骨髄の確保を要求します。この確保の任務には、シモンズ殿の部下であるエイダ
・ウォンが適任かと考えます」
「ディレック・C・シモンズ殿へ、依頼にあった調査の結果を報告します。ジェイク・
ミューラーの母についてですが、すでに病死していることは間違いないようです。
イドニア共和国に生まれ、二十代の始め頃に単身アメリカへ移住。詳細は不明ですが、
そこでアルバート・ウェスカーの子を身ごもる機会があったようです。
間もなく、彼女はウェスカーのその事実を告げず故郷のイドニアに帰り、ジェイクを
生んでいます」
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File 1-3 : 潜水艦
エイダ・ウォンがディレック・C・シモンズの陰謀を暴くために侵入した潜水艦は、彼
女の掌形や声紋を認識するセキュリティシステムが稼働しており、全てが謎に包まれて
いるはずのエイダに関する情報も存在した。
艦内にはシモンズの趣味嗜好が反映されたと見られる部屋や仕掛けもあり、この船の雰
囲気をいっそう不気味なものにしている。何の目的で作られたのか、誰が使用するもの
なのか、不可解な点が多い。
しかし、その手がかりとなる手紙が艦内から見つかっている。
「エイダ・ウォン。
ファミリーが持つ軍事力は日々強大となり、このシモンズ一人の手には余るようになっ
てきた。よって、極東アジア方面の兵力は、君に指揮権を預けることにする。この潜水
艦は、プレゼントだ。預けた兵を有用に使うため、役立てるといい。引き続き私に忠誠
を誓い、期待に応え続けてくれたまえ」
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File 1-4 : グネズド
C-ウィルスの感染者が、変異の果てに生まれ変わった姿。グネズドとは、東欧の言葉
で「巣」を意味する。ハチのような姿をした小型のクリーチャーが無数に集まり、人間
の姿を形成している。アリやハチのように群れを作って行動し、その中で各個体がそれ
ぞれ別の役割を持つ。
上記の昆虫の生態と違う点として、女王蜂にあたる種が、繁殖ではなく司令塔的な役割
を担い、群れを統率している点があげられる。グネズドの場合、女王にあたる個体は他
の個体と感覚神経を共有しているため、その個体が失われると、他の個体も消滅してし
まう。
逆に、女王が生存するかぎり、群れは維持される。通常、女王にあたる個体は群れの中
に隠れて身を守っているが、群れが攻撃を受けると、これを守る役割のクリーチャーが
散開するため、その姿を確認することが出来る。
「最初は、人だと思ったんだよ。女がいる、と思った。だけど、近寄ってみたら、虫の
集まりが人の形をしていただけだった。怖くなって逃げ出したけど、人の形からただの
虫の群れになって、俺に襲いかかって来やがったんだ。体中食いつかれて、血だらけに
なって...。どんだけ暴れも、相手は小さな虫の群れだから、どうにもなりゃしねぇ。
生きて帰れただけでも、奇跡だよ...」
...中国で"グネズド"に遭遇した現地人の証言である。
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File 2-1 : エイダとシモンズ
ディレック・C・シモンズの信条は「安定」。彼が裏で操る組織「ファミリー」もまた
、シモンズにとって安定した世界の維持のため、世界の裏側で暗躍している。
しかし、エイダ・ウォンとの出会いが、彼のそれまで平坦だった精神に初めての波風を
立たせた。優秀なスパイであるエイダ・ウォンを高く評価していたシモンズは、己の理
想と野望のために、彼女にいくつものオーダーを課し手元に置いていた。
しかし、1998年のラクーン事件の際、ラクーンシティを焼き払った「滅菌作戦」の実行
にシモンズが深く関わっていたことを知ったエイダは、シモンズを危険視し始め、一切
の関係を断ち切った。
この一件が、初めてシモンズに動揺をもたらした。彼は自分と同じ天才性を持つエイダ
に対して、歪んだ執着心・愛情を抱いており、「エイダ・ウォンが自分の元を去った」
という事実を認めることが出来なかったのだ。
シモンズは、「エイダを取り戻す」ため、狂気に満ちた計画を実行することになる。
シモンズがエイダを失った際に残した手記がある。
「エイダが私の元を去った!なぜだ? 私たちは最高のパートナーだったはずだ。
彼女は、私が唯一認めた、この世で最も美しく聡明な存在。
私と、唯一、肩を並べることが許される存在。彼女も、それが分かっていたはずだ!
ああ、エイダ・ウォンが、私の傍からいなくなってしまった...。
いなくなったから、造るしかない」
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File 2-2 : 滅菌作戦とシモンズ
滅菌作戦とは、1998年に発生したウィルス流出事故「ラクーン事件」を収束させるため
、合衆国政府によって実行されたミサイル攻撃のことである。
ウィルスによってゾンビパニックに陥っていたラクーンシティに直接ミサイルを撃ち込
み、10万人の市民とともに街を焼き払ったこの作戦は、政府高官を務めていたディレッ
ク・C・シモンズが中心となり実行に移された。
そもそもラクーン事件は、シモンズにとってケーススタディだった。「ゆくゆくはバイ
オ兵器が現行の兵器に取って代わる」という確信と、バイオ兵器の脅威がデータとして
残せた以上、後は事実の隠ぺいさえ出来ればいいと考えたシモンズは、大統領と政府の
急進派を煽り、早急にこの計画を推し進めた。
今回のトールオークスで、彼がラクーン事件を模倣するようなバイオテロを演出したの
は、大統領がラクーンの真実を公開しようとしたことに対する政府関係者への見せしめ
と、ここまで大規模なバイオテロを起こせるだけの組織が存在することを世界に思い知
らせるために他ならなかった。
果たして、すべてはシモンズのもくろみ通りになった。
シモンズがトールオークスの滅菌作戦直後、中国に向かうプライベートジェットの中で
、ファミリーに対して送ったメッセージがある。
中国から帰還したDSOのレオンが、FOSに提出したもののひとつである。
「私の計画通り、トールオークスの滅菌作戦は成った。ラクーンのときとは異なり、
この一件は隠蔽されない。全世界に公表される。
アメリカは大統領をバイオテロで殺され、政府は正体不明のウィルスから国家を守る
ため、やむなく滅菌作戦を実行した。これにより、世界は再認識するだろう。
"世界を脅威に陥れる強大なテロ組織"と、"その先頭を切って戦う、最強の国家・
アメリカ"という、世界の本来あるべき形を。
台頭する中国に、アメリカの力を見せつけることが出来るのだ。
アメリカが頂点にある世界の情勢こそ、我らファミリーが最も力を振るえる安定の図式
である。その安定を崩そうとする愚かな指導者アダム・ベンフォードはもういない。
世界は、これからもファミリーのもと安定し続けるのだ」
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File 2-3 : 研究室に残されたメモ
「私の たった一人の家族 ヘレナ
私を 心の底から 愛してくれたのは
世界で 姉さんだけだったわ
それなのに 勝手なことばかりして ごめんなさい
さっき 変な薬を注射されて 頭が ぼうっとしてる
ヘレナのことを忘れてしまいそう こわい
ヘレナ あなたを 愛していた
いつも 正しい姉さん 私の 誇り
ヘレナが私を 愛してく れ た と 同じく らい
誰 か ヘレ ナ 愛し てくれ ま よ に」
デボラのメモが残されていた研究所には、ファミリーの一員が書いたと思われるレポー
トも残されていた。
「ヘレナ・ハーパーがこちらの計画通りに動いたので、用済みとなったデボラは始末す
るよう命令が下った。しかし、研究者たちがデボラの健康的な肉体を見て"どう変異す
るか見たい"と言い出したため、C-ウィルスを投与することになった。どうせ殺して捨
てるだけだ。そのくらいのお遊びは別に構わないだろう。
ウィルスを投与して一時間ほど。めだった変化は見られない。しかし、研究者たちは、
もう少しすれば素晴らしい変異種が生まれると口々に言っている。だが、我らもなるべ
く急いでトールオークスから脱出しなければならない。計画通りならば、数時間内に街
のすべてが焦土となるからだ。研究者の好奇心のために命をかけるつもりはない。
早くデボラを地下へ廃棄して、ここを出ることにしよう」
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File 2-4 : シュリーカー
シュリーカーは、ゾンビの一種である。ゾンビの聴覚を刺激する大きな音を発して、
ゾンビを呼び寄せる。シュリーカーの発する音には、ゾンビが反応し、集まりやすい
音域が含まれているだけでなく、ゾンビの神経を刺激し凶暴化させる作用がある。
また、シュリーカーが放つ音波が乱れると、ゾンビも影響を受け、高音波による刺激に
耐えきれず、聴覚と脳の一部が破壊される。
トールオークス跡地で見つかった殴り書きのメモに、シュリーカーについて書かれたも
のがある。女性が書いたものらしい。
「ああ、またアイツが、叫び声を上げてるわ!鼓膜が破れそう!
頭の奥にガンガン響いてくる!
うるさい! うるさい! もうやめて!
アイツが叫ぶと、他のゾンビたちがどこからともなくワラワラと集まって来る。
何がどうなってるの!? ワケがわからない!
アイツ、さっきから私の家の周りで叫び続けて、仲間を呼んでる。
家の中にいる私を狙ってるんだわ。嫌、死にたくない! 死にたくない!
扉が破られた。
バリケードが崩れていく
もうダメ 逃げられない
来ないで
あ
たべないで
いた い
わた しの 腸が
ちょう が」
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File 3-1 : 二人のエイダ・ウォン
今回の事件には、二人のエイダ・ウォンが登場する。一人は、トールオークスでレオン
・S・ケネディの前に現れた女スパイ、エイダ・ウォン。もう一人は、半年前のイドニ
ア共和国で、ジュアヴォを引き連れクリス・レッドフィールドやジェイク・ミューラー
の前に立ちはだかったネオアンブレラのエイダ・ウォンである。
前者はオリジナルのエイダ・ウォンであり、後者はエイダに執着するディレック・C・
シモンズがC-ウィルスを用いて造り出した彼女の複製である。
ネオアンブレラのエイダは、オリジナルのエイダに連絡をとり、自らが引き起こすバイ
オテロを予告するという謎めいた行動をとる。彼女の目的を探るため、オリジナルのエ
イダは中国へと向かった。
ネオアンブレラのエイダが生まれた瞬間は、トールオークスの地下にあるビデオテープ
に収められていた。そのときにシモンズが記したと思われる手記の一部が見つかってい
る。
「ようやく、いなくなったエイダの代わりが出来た。彼女をこれからしっかりと教育し
て、見た目だけでなく、思考も、身体能力も、仕草もクセも...すべてをエイダ・ウォ
ンにする必要がある。
私に従順で、決して裏切ることのないエイダ・ウォンに教育する...。
胸が躍るな。さて、最初は何からしつけるとしようか...」
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File 3-2 : エイダとラクーン事件
1998年、エイダ・ウォンはジェイク・ミューラーの父であるアルバート・ウェスカーか
らの依頼を受け、ラクーンシティに潜入していた。
エイダに課せられたオーダーは、シェリー・バーキンの実父ウィリアムが独占をもくろ
む「G-ウィルス」を回収すること。オーダーの遂行にあたり、エイダは夫の開発した
ウィルスを渡すまいとするシェリーの母でありウィリアムの妻、アネットから妨害を受
けるが、ラクーンシティで出会ったレオン・S・ケネディを利用してウィルスのサンプ
ル入手に成功。ウェスカーの元へ帰還を果たした。
2004年、エイダはウェスカーからの指示を受け、寄生体「プラーガ」を入手するためヨ
ーロッパの辺境へ赴く。そこでレオンと再会を果たしたエイダは、再びレオンを利用し
、彼からプラーガのサンプルを奪取し、任務を遂行した。
その後、エイダはウェスカーにプラーガのサンプルを渡すことなく、自身の「真の目的
」を達成するため、サンプルを持って逃亡する。エイダにとっては、ウィルスを使って
世界を支配しようとしたウェスカーすら本当の目的を達成するための駒でしかなかった
のだ。
やがてそのウェスカーも、BSAAとの戦いの末、アフリカにおいて命を落とす。
"ウェスカー死す"の情報は間もなく裏社会を駆け巡り、エイダの耳にも入った。
そのとき、彼女が書き残したメモがある。
「ウェスカーがBSAAとの戦いの末に死んだ、との情報が入った。私の果たすべき真の目
的のため、彼と組んでいた期間は短くない。悲しくはないが、あれほど強大な存在がい
なくなったことに対して、わずかばかり空虚な気持ちを感じていることは、否定できな
い。
裏社会においてB.O.W.を浸透させ、その覇権を牛耳っていたウェスカーの死は、表裏問
わず様々な勢力図を塗りかえることだろう。さしあたって、シモンズ率いるファミリー
がどう動くのか、注意が必要だ。
ただ、どうなったところで、私の真の目的は何も変わらない。
今までも。そしてこれからも」
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File 3-3 : ファミリー
ファミリーとは、ディレック・C・シモンズが長を務める巨大組織のことである。
アメリカ建国以前に、シモンズ一族によって築かれたこの組織は、強大な財力と世界
規模のネットワークを用いて、古来から歴史を自在に操ってきた。
ファミリーの目的は、「世界の安定」を維持することである。言い換えれば「ファミリ
ーにとって最も有益となる世界情勢」を維持することにあたり、この目的を達成するた
めなら、手段を選ばない。
ファミリーは「アメリカを頂点とするピラミッド型の権力構図」の「安定」に努めるこ
とが最良だと考えていた。そのため、ラクーン事件の公表によってこの構図が崩壊する
ことを恐れ、シモンズの指示のもとバイオテロを起こし、大統領を暗殺した。
トールオークスの事件後、ファミリーに出したシモンズの指示が、エイダからレオンに
渡されたデータの中に入っていた。
「大統領の暗殺は成功した。トールオークスに放ったレポティッツァは用済みだ。
すぐにプログラムを起動して自壊させよ。続けて、トールオークスの滅菌作戦に向けて
準備を開始するように」
「レオン・S・ケネディとヘレナ・ハーパーが生還し、私を追って中国へ向かっている
FOSから死亡したとの報告が出ているが、虚報だ。早急にレオンとヘレナが搭乗する
飛行機を突き止め、そこにレポティッツァを仕掛けろ。確実に、二人を葬るのだ」
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File 3-4 : ブラッドショット
ごくまれにだが、今回のテロで確認されたゾンビの中には、頭部の破壊によって新たな
種へと姿を変えるものが存在する。この種のゾンビは「ブラッドショット」と呼ばれて
おり、全身の筋肉が剥き出しになったような外見をしている。
通常のゾンビとは比べ物にならないほど高い身体能力を持ち、素早い動きで人間に飛び
かかり、肉を食いちぎろうとする。ゾンビに、C-ウィルス特有の「変異」の効果が現
れたものと推測される。
トールオークスでブラッドショットと遭遇したレオンの、FOSに向けた報告がある。
「t-ウィルスのときと同様、感染者には様々なバリエーションが確認できた。中でも特
徴的だったのは、攻撃を受けることでウィルスが活性化したと見られ、異種のB.O.W.と
して突然変異したタイプがあったことだ。
ブラッドショットと名付けられたその新種を見たとき、t-ウィルスでもこれに非常に似
た変化を目にしていたことを思い出した。"リッカー"だ。ラクーンシティで、多くの生
存者をあの世に送ったバケモノ。アイツも、感染した人間が、さらにt-ウィルスに肉体
を浸食され、突然変異を遂げたものだった。
ブラッドショットは、これと同じC-ウィルスによる突然変異の一種で、感染者の体内
でウィルスが活性化し、肉体を急激に変化させて生まれたものと考えられる」
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File 4-1 : カーラ・ラダメス
カーラ・ラダメスは、C-ウィルスを発見した人物であり、ディレック・C・シモンズ
の腹心だった。15歳の若さで大学の博士課程を修了したカーラは、そのままシモンズ
の財団が所有する研究所へスカウトされ、ウィルスやB.O.W.の研究に打ち込んでき
た。カーラの天才的な頭脳と研究結果をシモンズは気に入り、彼女も自身に正当な評価
を与えてくれるシモンズに傾倒していった。
カーラは心酔するシモンズの役に立ちたい一心でC-ウィルスの発展に尽くしたが、
シモンズにとっては所詮コマのひとつに過ぎなかった。やがて彼女はシモンズによって
「エイダの再現」のための実験体に選ばれてしまい、「カーラ・ラダメス」としての人
生に幕を下ろしたのである。
カーラがC-ウィルスの開発を開始したのは、2001年からのことである。クアッドタワ
ーに残されていたカーラの手記からは、C-ウィルスの意外なルーツが確認できる。
「無害化して廃棄予定だったウィルス、t-Veronicaを手に入れることが出来た。シモン
ズから新型生物兵器の研究を任された私は、まずはこれの改良から始めることにした。
まず、始祖ウィルス最大の特性であり、t-ウィルスが生まれるにあたって強化されてい
た"DNAを変異させる特性"のみを抜き出すことに成功。私はこれをt-Veronicaと組み
合わせ改良を重ねることで、最大の欠点であった脳細胞への強い拒絶反応を打ち消した
「t-02」を完成させた。
本来、拒絶反応なしにt-Veronicaを人体に適応させるには、投与後、長いコールドスリ
ープを経て共生と免疫を保持しなければならなかった。しかし、私が生み出した「t-02
」はその問題をクリアにしている。あとは、シェリー・バーキンから採取したG-ウィル
スとの合成がうまくいけば、最高のウィルスが完成する。あと何年かかるか分からない
が、シモンズの期待に応えるため、必ず成し遂げてみせる」
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File 4-2 : シモンズとカーラ
エイダ・ウォンの複製を造ることに妄執するディレック・C・シモンズは、数え切れな
い被験者を使ってC-ウィルスを投与し、実験を繰り返させた。しかし、複製を生み出
すにはエイダの遺伝子と配列が近しい人物が不可欠である。それがなかなか見つからず
、実験は暗礁に乗り上げていた。
そんな中、ファミリーの調査で、腹心の科学者であるカーラ・ラダメスの遺伝子配列が
シモンズの理想とする形であることが分かった。シモンズはカーラをだまし、実験へと
参加させる。シモンズに心酔するカーラは、まさか自分が被験者にされるなどとは、
考えてもいなかっただろう。
そしてシモンズの予想通り、カーラはエイダ・ウォンの完璧な複製として生まれ変わっ
たのである。
オリジナルのエイダとはビジネス上の関係しか持てなかったシモンズは、外見上、完全
にエイダとなったカーラに、積もり重なっていた歪んだ愛情や征服欲を本能のままにぶ
つけ、身も心もエイダとして振舞うよう彼女を調教し始める。
やがて、カーラ・ラダメスは自我のほとんどを失い、心身共にエイダ・ウォンとして生
まれ変わった。しかし、その奥底にほんのわずかだけ残されていたカーラとしての意識
は、自分の全てを否定したシモンズに対する激しい憎しみへと形を変えていたのである
エイダ・ウォンに生まれ変わって間もない頃のカーラの手記が残っている。
「私は、シモンズの忠実なしもべ、エイダ・ウォン。シモンズに絶対の忠誠を誓った、
シモンズだけのエージェント。彼の望むことなら、何だってする。その代わり、彼も私
の望みを何だって聞いてくれる。私たちは最高の主従関係。誰にも邪魔されない、理想
のつながり。
だけど、最近、彼の目を見るたび、心の奥でどす黒い感情がわき上がってくる。
理由はわからない。私が生きる道は、シモンズと共に在ることしかないはずなのに。
頭の中で、誰かが私に叫び続けている。「あいつを許すな」「あいつを殺せ」
「シモンズの理想の全てを叩き潰してやれ」叫びは日に日に大きくなっていく。
なぜ?
あんなにも私を愛してくれるシモンズに、憎しみを抱く理由なんてひとつもない。私だ
って、彼のいない世界なんて考えられないほどに、彼を愛している。私はシモンズに何
もかも捧げた身。彼の理想とする世界を害するなんて、あり得ない。
あってはならない」
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File 4-3 : カーラの手記
「もうすぐ、あの男が最も憎む世界を生み出すことが出来る。海の底のあの子も、順調
に育っている。手元のサナギも、じきに孵化する。私の最高の作品たちが、最高の世界
を創ってくれるわ。
あの男に最も不似合いで、この私に最もふさわしい世界...。
でも、仲間はずれも可哀相ね。
せっかくだから、あの男も新しい世界にふさわしい体に変えてあげようかしら。
彼が大好きな、安定。
決して揺るがない均衡。それが永遠に得られない、無限に変異し続ける体に...」
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File 4-4 : 無限変異カーラ
中国でのバイオテロを成功させ、目的が達成されることを確信したカーラだったが、
シモンズが放った刺客によって撃たれ、致命傷を負ってしまう。
「死ぬのなら、せめてシモンズの世界の崩壊と、私の世界の誕生だけでも見届けたい」
カーラは最後の力を振り絞り、手元にあった強化C-ウィルスを自らに投与した。部下
を使って、シモンズに投与したものと同じものである。結果、彼女の肉体は空母の内外
を覆い尽くすほど肥大化し、かつては一人の人間であったとは思えないほどの変貌を遂
げた。
カーラは、空母と一体化した肉体のどこからでも、意志を持った自らの分身、「カーラ
スポア」を生み出すことが出来る。エイダに成り代わろうとしたカーラの意志の強さか
らか、カーラスポアの形状はエイダの姿と酷似している。
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File 5-1 : 完全変異種
ジュアヴォの体内で活動するC-ウィルスが活性化すると、ある時点で外皮が硬化を始
め、サナギのような形態へと変異する。
この時、サナギの中ではC-ウィルスの作用によって体組織の溶解と再構築が行われて
おり、ジュアヴォとは全く異なるクリーチャーへと姿を変えたのち、硬い外皮を破り出
てくる。このような変異をとげたジュアヴォは、「完全変異種」と呼ばれている。
この種には、ディレック・C・シモンズがエイダ・ウォンの再現を試みた過程で副産物
的に生まれたものが少なくない。レポティッツァやグネズドがそれに当てはまり、これ
らの姿にどこか女性らしさが残るのは、シモンズがエイダを追い求めた結果と言える。
また、C-ウィルスと生物の遺伝子を掛け合わせることで、その生物の特性を反映した
変異種が生まれることに気付いたシモンズは、爬虫類や哺乳類など、多くの遺伝子をC
-ウィルスに組みこみ、完全変異種を兵器として使用することを考えた。結果、ひとつ
のC-ウィルスから多様な完全変異種が生まれるまでにウィルスを安定させることに成
功した。
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File 5-2 : 強化C-ウィルス
強化C-ウィルスとは、C-ウィルスをジェイク・ミューラーの血液によって強化させた
ものをさす。これは、カーラ・ラダメスによって開発された。
ジェイクの血液は多くのウィルスへの耐性を持っており、その特性を取り入れることで
、カーラはC-ウィルスを強化させることに成功した。通常、C-ウィルスを投与された
場合、サナギを経て生まれ変わった後に再び変異することはないが、強化C-ウィルス
の場合はそれと異なり、サナギの過程を経ることなく、強化と変異が永遠に進行し続け
ることになる。
このウィルスの精製方法は非常に難しい上に、カーラ・ラダメス以外にその製法を知る
者がいない。そのため、今後このウィルスが量産される可能性は極めて少ないと言える
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File 5-3 : シモンズの野望と最期
唯一の理解者だと思い込んでいたエイダ・ウォンが、ラクーン事件を機に自身の元から
離れて行ったことは、ディレック・C・シモンズの平穏だった精神にはじめてのざわめ
きを起こした。
その結果、シモンズは「エイダが傍にいないのならば、自身に忠実なエイダを作り出せ
ばいい」という常軌を逸した考えに至る。
彼は、カーラ・ラダメスが研究していた「投与した人間の身体を作り替える」という
C-ウィルスの特性に注目し、これを応用してエイダを作り出す計画を実行に移した。
数え切れないほどの人間を犠牲にして実験を繰り返し、シモンズはついにエイダ・
ウォンと全く同じ人間を作り出すことに成功する。
エイダの再来に歓喜するシモンズだったが、自身が作り出したエイダからも見放された
彼は、強化C-ウィルスを投与され、無限に変異を続けるクリーチャーへと変貌してし
まった。その後、オリジナルのエイダ・ウォンによって攻撃を受け、致命傷を負う。
彼が欲した「忠実なエイダ・ウォン」は、とうとう最期まで手に入れることができな
かった。
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File 5-4 : カーラの復讐
カーラ・ラダメスは、C-ウィルスの作用と、ディレック・C・シモンズの常軌を逸した
調教の末に、エイダ・ウォンとして生まれ変わった。だが、彼女の根底にはカーラとし
ての意思がわずかに残っており、それはカーラという存在のすべてを否定したシモンズ
への復讐に捕らわれていた。
シモンズに極秘でネオアンブレラを立ち上げたカーラは、C-ウィルスの強化実験と、
彼のファミリーが守ってきた「安定した世界」を破壊するための準備を始める。
彼女は、人間をゾンビに変えるレポティッツァのガスを搭載したミサイルと、研究の
末に生み出した、究極のB.O.W.ハオスを使い、世界を崩壊させることで、組織体として
の国家の権威と枠組みを崩そうと企んだ。
中国でのテロを成功させ、全てが計画通りに進んでいく中、カーラはオリジナルの
エイダ・ウォンに連絡を取り、事件へと巻き込むという不可解な行動をとる。
作られたエイダ・ウォンとしての自我が、オリジナルを葬るために彼女を呼び寄せたの
か、それとも、カーラとして残る人間としての自我が、自身の暴挙に耐えられずオリジ
ナルに助けを求めたのか。その真意を知る者は誰もいない。
--
※ 發信站: 批踢踢實業坊(ptt.cc)
◆ From: 180.177.192.65
噓
11/13 01:48, , 1F
11/13 01:48, 1F
噓
11/13 04:29, , 2F
11/13 04:29, 2F
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噓
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11/13 07:58, 8F
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